“うちの子だけどうしてできないのだろう?”と思ったことはありませんか?そうした時に、まずは、パパ・ママがわが子の苦手なことに気づき、向き合うことが大切です。一日でも早く適切な支援を受けることにより、子どもたちの成長が促され課題の軽減や改善につながります。
今回の特集では、ご家庭に寄り添いながら支援を行っている事業所をご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。
コラム
みんなの心をちょっとずつ軽くする秘訣
〜気軽な相談で、わが子の苦手に気付き、向き合う〜
就実大学 教育学部 初等教育学科
吉田満穂 教授
 我が子が目の前にいてくれる。楽しい子育て…のはずが、時々、こんなはずじゃない。私の思い描いていた子どもの姿や、子育てはなんだか違う、と思うときもあるのではないでしょうか。一人で抱えていると、辛くなる。
きっと誰にでもあることです。
 もし、お子さんの状態で、誰かに相談したいな、と思うとき、ご自分の親御さん、近所の人、保育園や幼稚園の先生、ママ友…以外にも、病院の先生に相談するのはいかがでしょう。なんだか、敷居が高い?うちの子どもは、別に発達の偏りがあるわけでもないし、何か言われてもどうしたらいいか分からないし。そんな思いで躊躇することもあるかもしれません。
 保育現場にいた時のこと、入園前に、園にお子さんの様子を伝えてくださったお母様がいらっしゃいました。気になることがあるので病院でも相談されていたようです。「思い通りにならないと癇癪をおこしてしまう」という傾向があり、お母様も困ってしまうこともあったようです。でも、お医者様から「このお子さんは、見通しが持てないところで、急にしているところを止められると、ストレスを感じる」ということを教えてもらいました。そして、そのことを園に伝えてくださったため、保育者一同、共有することが出来たのです。担任を中心に、保護者の方と話をしながら、「遊んでいるとき、急に遊びを止めない」「予定を急に変えない」などを確認し合いました。担任は、あらかじめ、時計の針を見せ、「針がここに来たらお片付けにするから、そろそろね」大好きな砂場遊びの時も、「もうすぐお集まりよ。お山が高くなったね。どこまで高くなったらお部屋に帰ってくる?」と本人に決定させ、納得出来る言葉を掛けるなどの対応をしていきました。本人も見通しが立ちますし、行動の主人公は自分ですから、嫌な思いをしません。担任も、確信をもちその子への援助が行えますし、考えてみれば、そのほかの子どもたちにとっても同じこと。いきなり「時間だから、もう遊ぶのおしまいよ」などと言わなくていいのです。誰に対しても見通しを持って行動できるように援助をしていけばいいのです。
 保育者たちは、この保護者の方が早いうちに自分で抱え込まず、専門家にアドバイスを求めたおかげで、大変ありがたかったわけです。
 心配なことは、気軽に相談する。選択肢を広げて情報共有しながら子育てをする。何か言われたらどうしよう、うちの子は、相談の必要はありません、と枠を作ってしまうより、みんなが、ちょっとずつ心を軽くする秘訣になるかもしれませんよ。