子どものSOSに気づいたとき、親はどのように対応すればよいのでしょうか? 「諭す?」「見守る?」どのようなかかわり方をすれば、子どもの苦しみを軽くしてあげる ことができるのか、今回は社会福祉士である中原さんにお話しいただきます。
子どもが発信するSOS
子育てをしている中で、こんな経験はないでしょうか。「朝、布団から中々出てこない」「部屋に閉じこもることが増えた」「食事の量が減った」。これらは、ひょっとしたら子どもが出しているSOSかもしれません。場合によっては、子どもの口から「つらい」「苦しい」「もう耐えられない」などの言葉を直接聞くこともあるでしょう。このように、子どもからのSOSを感じ取った時、親はどのような対応をすればよいのでしょうか。
そのヒントは、子どもが何を求めているかにあります。これは私達にも言えることですが、人は何かで苦しんでいる時、その背景には苦しみの原因だけでなく、自分のつらさを誰も理解してくれない、「苦しみの抱え込み」が存在します。親は原因追及に走りがちですが、子どもが本当に求めているのは原因探しではなく、「苦しみの抱え込み」からの解放なのです。つらさや苦しみを一人で抱え込まなくてよくなったと実感した時、子どもは初めて原因と向き合い、次のステップに進むことができるのです。
「苦しみの抱えこみ」からの解放が大切
そういったことから、子どものSOSに親が気付いた時、求められる対応は「苦しみの抱え込み」からの解放です。そのためには、子どもの気持ちに向き合い、丁寧に話を聞く姿勢が求められます。この時、親がついついやりがちなのが親の意見の押し付けです。
「YES」、「NO」をはっきりさせるのではなく、「学校に行きたくないと思うぐらいつらいんだね」といったように、子どもの気持ちに目を向けることが大切です。勿論、子どもの発言内容に、親自身が共感できないものもあるでしょう。そのような場合は、「自分の気持ちを言葉に出来たことが大切だと思うよ。」「自分の考えをきちんと持っていることは凄いことだよ。」といったように、プロセスを評価するようにし、具体的なジャッジメントを控えることを心がけてみてください。
困ったら専門家に相談しましょう
原因探しが決して悪いわけではありませんが、何が原因で苦しんでいるのか、子ども自身もわからないこともあります。また、「理由がはっきりしないと、どうしようもないでしょ!」といった一言は、より一層子どもを追い詰めてしまうことにもなり得ます。原因がわかっても、「苦しみの抱え込み」がある以上、本質的な問題解決にはなりません。
勿論、「苦しみの抱え込み」は子どものみならず、親も気を付けることです。学校の先生やスクールカウンセラー、市町村の家庭児童相談室に相談するなど、親自身も「苦しみの抱え込み」に陥らないようにしてください。